タロット・ガーデン il Giardino dei Tarocchi

タロットガーデン・トスカーナ

タロットガーデン・トスカーナ

タロット・ガーデン/Giardino dei Tarocchi(ジャルディーノ・デイ・タローキ)

ニキ・ド・サンファル/Niki de Sanint Phalle

それはイタリア・トスカーナの丘に突然、タロットカードをちりばめたような彫刻庭園が現れる。

女性アーティスト、ニキ・ド・サンファルの楽園だ。

 

タロットガーデン

 

 

 

 

 

 

 

 

若き日に神経衰弱を病んだニキは、絵を描くことで回復し、芸術家を心ざす。

タロット・ガーデンはニキが私財を投じ、20年かけ完成させた。

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ニキ・ド・サンファル/タロット・ガーデン回想

*トスカーナと、ローマのあるラッツィオ州の境。”カパルービオ”という海沿いの町の丘。フィレンツェから200キロ、車でおよそ2時間半。トスカーナの代名詞ともいえるキャンティの丘を、国道ss223沿いにシエナに向かう。

キャンティの景色は、シエナの丘で一層その魅力を増す。そびえたつ糸杉を目に写し取りながら、刻々と変化する空を眺めてる。期待で心がはちきれそうだ。

 

*夕べは嵐。イタリアに来て3週間。夏のような快晴続きだったのに、今、空の上はどんよりグレー、でも、いいんだ。夕べの雷を思えば、たまに落ちるポツリとした水なんで、気にするうちに入らない。それに、予報では、午後は晴れ。

タロットガーデン・トスカーナ

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*晴れ間が見えたと思うと再び雨雲。天候不順をくぐりぬけながら、グロセットから、欧州自動車道路E80線に入る。緩やかな起伏道はやがて海へ近づくにつれしだいに平地になり、雲が切れ、空が明るく広がった。予報どおり、雨は止む。トスカーナの空気から一転して、むっとするような湿気を帯びた空気。グロセットを抜けると、意外に直ぐその場所へ近づいた。ほんの一瞬、はるか遠くの木々の間からキラッと光る固まりが目に入った。まるで幻であったかのような一時の反射。さらに近づくほど、再び、何事もなかったようにあたりは一面のオリーブに、すっぽりと覆い隠されてしまう。

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*まだ黄緑色のオリーブの樹木、羊。白らっ茶けた黄土色、乾いた大地をぶらりと散歩しながら、開園時間までの小一時間、あたりを散歩する。駐車場にポツンとあるバールで、ポモドーロとフォルマッジョのシンプルなパニー二で腹ごしらえをし、トイレを済ます。パンはちょと渇き気味だった。軒下に強い風が吹いているが、バールの叔母さんの話では、カパルービオに夕べ雨は降っていないそうだ、トスカーナは嵐だったのに。駐車場の奥には、次々と、キャンピングカーが現れる。

区切り線タロット・ガーデンの門の前には、事前予約をしなかった者達が、二時少し前に列を作っている。開園2時半より、ほんの少しだけ早く、タロット・ガーデンへの入場が始まると、ワーッと集まった世界各国の観光客は、列などお構い無しに、どさくさにまぎれて、われ先へとニキの世界へ向かって開け放された門の中へ吸収されていく。

タロットガーデンの門

 

タロットガーデン・トスカーナ
タロットガーデン mago/マジシャン

*タロット・ガーデンには、タロットカードの登場人物をモチーフとした21体のモザイク像と、猫、悪魔などのニキの彫像がたたずんでいる。門を抜けて景色と同じように乾いた大地の程なく先の視界にそびえるのは、マジシャン。

mago/マジシャンとマジシャンの頭の上に輝くpapessa/女教皇が二体一つになった水色とミラーモザイクの像。口をぽっかりあけて水を吐き出している。

 

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*ニキが住居に使っていたという、 imperatrice/女帝 に入る。ダイニングルームに設置されたテーブルも、ミラーモザイク。ベットルームも、バスルームも、キッチンの冷蔵庫にも、扉にも、一面がミラーモザイクのおうち。

 

タロットガーデン・トスカーナ
タロットガーデン imperatrice/女帝 の中

タロットガーデン

ニキド・サンファル"
タロットガーデン imperatrice/女帝 の外部階段

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*住居のとなりには、中庭のある、imperatore/皇帝

あたり一面が直線を構造に必要としない有機的な装飾柱と、モザイク空間で成り立っている。モザイクと、タイル、色彩、形状、凹凸、あらゆる組合せを駆使したニキのクリエイティブが支配する創造物。

タロット・ガーデンは、ニキがガウディにも触発されて構想し20年かけて暮しながら作り続けたニキの夢の世界なのだが、トスカーナの広大な空気の中へ吸い込まれる感覚は、これまでのモザイク体験だけでなく、四角いシステムに慣れてしまった脳みそ、人生観を根こそぎを抉り取るように刺激するもので、平衡感覚を見失い、次から次へと変化する構造の中へ子どもように無邪気に投げ込まれていく。

タロットガーデン・トスカーナ

タロットガーデン・トスカーナ

タロットガーデン・トスカーナ

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タロットガーデン・トスカーナ

*「皇帝」の奇想天外な装飾を施された中庭の壁のくぼみには、隠されたように、時折、サイや、象、ドラゴンのような鳥、など、様々なモチーフが作りこまれている。みんな、どこか、赤く流血して、痛みを秘めた生き物達。

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秘境タロット・ガーデン

*「秘境」。タロット・ガーデンは、日本人観光者にとっては、アクセスが難しい。開園の期間、時間が限られ、公共の交通手段でのアクセスは悪い上に、聞くところによると、人気急上昇でイタリアの遠足始め、シーズンの混雑は相当なものらしい。日本から訪ねる場合には、事前に綿密に計画を練り、できるだけ、開園時間と同時に入園する段取りがよいだろう。実際、私が公園を後にした四時過ぎに、門の外には散歩に来た観光客の列が長く伸びていた。トイレ事情は日本人にとっては、イタリアの他の地域同様、ポジティブなものではなかった、、。

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区切り線写真撮影:Nahomi Okada2016

資料参照:HP/Niki Museum Gallery