モザイクの歴史

オスティア・アンティーカ モザイク遺跡

モザイクの歴史/Mosaic story

モザイク史概要

古代地中海沿岸地域を中心に発展

ポイント矢印大理石などの石材を割った小片や、小さな自然石などを用いて、生活空間を装飾したモザイクは、古代地中海沿岸地域を中心に、発展しました。道路の舗床(ほしょう)、貴族屋敷内の床、公共浴場、邸宅内噴水などにモザイク装飾が施され、主題は、神話、狩り、英雄の伝説などが、モザイク片で描き出されています。キリスト教時代に推移すると、モザイクの主題は、現実的な空間表現から、聖なる領域の表現へ移行します。

引き継がれるモザイクアート

ポイント矢印大理石、陶磁器片(タイルやテラコッタ)、ガラス、貝などの小片をモルタルに埋め込んで図案を描き、生活空間を装飾したモザイクは、現代なお、盛んです。古典技法に留まらず、モザイクアートとしての様々な技法が産み出され、広く発展普及しています。また近年、発掘が進み、鮮やかなモザイクが地中海世界で、次々出土し、研究者そして、私たち旅人の目を楽しませています。

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モザイクの起源

<メソポタミア文明>

ポイント矢印古代シュメール人の遺跡に、モザイク芸術の萌芽が認められます。紀元前3500年頃、メソポタミアの古代都市ウルクの神殿。数色の円錐形テッセラで装飾されています。

文明都市国家ウルク(Uruk・/現イラク)のモザイク遺跡 (紀元前3500年-前3000年頃)ベルリン・ペルガモン美術館

モザイクの歴史 メソポタミア
モザイク遺跡 ベルリン・ペルガモン美術館・撮影 岡田七歩美 2013年

 

ポイント矢印ウル王朝では、楽器の共鳴体だという説のある、ウルのスタンダードと呼ばれるモザイクがあります。片面それぞれのパネルに、戦争と平和の図が、貝や、石片で描かれた箱ですが、モザイクの起源として取り上げられる作品です。

「ウルのスタンダード(The Standard of Ur)」ウル王朝(前2600-2400頃)ロンドン、大英博物館

ウルのスタンダード ロンドン、大英博物館 撮影 岡田七歩美

<ギリシア・ローマ時代のモザイク>

”モザイクの技法は、古代ギリシア時代にはすでに実用化されていた(浅野,2009)。” ゆらぎ モザイク考―粒子の日本美 (INAXミュージアムブック)

ポイント矢印ヘレニズム期には、川で収集された玉石を使った写実的なモザイクが発見されています。(紀元前4世紀)。アレクサンダー大王の玉石モザイクが有名です。

ポイント矢印古代ローマ帝国の領土各地では、富裕層の邸宅にはモザイクが富の象徴として制作されました。モチーフは、狩り、食物、神話など、日常生活に関わるものです。素材は自然石の大理石が使われました。石を並べるというシンプルな柄だったモザイクは、より豊かで繊細なもの、写実的な表現へ進歩へます。

食料や、狩りの様子を描いた写実的なモザイク画は、当時の生活文化の貴重な情報源でもあります。

 

バチカン美術館 床モザイク
バチカン美術館 床モザイク 幾何学文様

バティカン美術館 モザイク床 幾何学文様

 

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<ビザンティン時代のモザイク>

ポイント矢印ビザンティン世界(5−15世紀)のガラスモザイクは、荘厳な神の世界を描き出しました。カタコンベや、教会壁画に現存し、光り輝くビザンティンのモザイクを、現在なお楽しむことができます。

モザイクは、自然石の大理石から華やかな彩色ガラスを使った表現へ移行。聖堂内の光により、繊細に演出されるビザンティンのモザイク画は、神秘的なキリスト教世界を表現するのに有効な手段でした。

ポイント矢印イタリアのラヴェンナはビザンティン時代のモザイクが美しく残る街です。1995年、ラヴェンナの初期キリスト教建築群は、ユネスコの世界遺産に登録されました。

サン・ヴィターレ寺院 ラヴェンナ
サン・ヴィターレ寺院 ラヴェンナ

 

サン・ヴィターレ寺院 ラヴェンナ
サン・ヴィターレ寺院 ラヴェンナ

ラヴェンナ/サン・ビターレ寺院 2012撮影

区切り線モザイク

 

現代のモザイク表現一例

<ガウディ建築におけるモザイクアート装飾>

ガウディのトカゲ
ガウディ モザイクタイル 撮影:岡田七歩美2009

 

グエル公園 モザイクアート
グエル公園 モザイクタイル 撮影 岡田七歩美 2008