アクイレイア再訪〜2018その2〜Aquileia


アクイレイア大聖堂遠景

アクイレイア大聖堂
La Basilica d’aquileia

古代都市のアクイレイアは、北イタリアのヴェネツィアから東へ、トリエステに向かうとたどり着く。ベネツィアから88km、トリエステから西へ35km。”アクイレイアは紀元前181年にローマ人によって辺境防衛基地として建設された町である。”(下記文献より引用)

空高く鳴り響く鳥のさえずりが耳に心地よい田舎町だけれども、古代都市や、遺跡、モザイク巡礼者には魅力あふれる場所なのだ。

アクイレイアの大聖堂では、ユニークなモザイクの床装飾を楽しむことができる。

アクイレイア大聖堂

現在の大聖堂は、十一世紀初頭のものである。発掘により、その地下に並んで、二つの教会堂が確認され、保存状態の良い床のモザイクが出てきたのだ。”(下記文献より参照)

アクイレイア大聖堂 南側

とりわけ有名なのは、愛らしい魚のモチーフであろう。先に触れたように、テッセラは2センチ角大くらいであろうか、魚1匹の大きさは、幅1メートルほどに見える。鑑賞者は、床モザイクの上、1.5メートルほどの高さに設けられた透明な歩道上からモザイクを鑑賞する形になっているので、正確なサイズはわかりにくい。

アクイレイア大聖堂 南側

また、壮大な床モザイクの半分は覆われていて、鑑賞できない。

1996年に訪れた時にはまだ、歩道は設置されておらず、床と同レベルで鑑賞できた。しかし私には豊かな海産物、家畜、四季の擬人像、教会の寄進者達のモザイクをさほど明確に記憶していない。理由は、当時床モザイクの大半は、覆われていたからだということが、手元に1枚残る当時の写真からしのばれる。

アクイレイアの豊かなモザイク風景は、彼の地で購入した1冊のカタログから回想していた。

アクイレイア大聖堂 鑑賞用歩道より床モザイクを望む

印刷や再現技術が多彩になったとはいえ、印刷物では、対象の美術品(モザイク)は、修正加工された色彩である。モザイク独自のデコボコ感や、質感は、伝わらりにくい。現地に足を向ける理由は、オリジナルに対面し、そこから心が受け止めるものを感じ取る醍醐味にある。

実際のモザイクは修復された箇所も多々あるが、オリジナルと、修復部の差異は、画像からは判別できにくい。現地では、その広大さゆえに鑑賞しにくい不便さはあるといえ、その場から目が受け止める情報は大きい。オリジナルのテッセラをじっくりと穴のあくまで見る贅沢ができる。

アクイレイア大聖堂 南側

大聖堂は現在も使われている場なので、モザイク遺跡の上に平気でベンチが設けられている領域もある。ベンチの隙間から、古代世界への扉を行きつ戻りつつ、モザイク熱が上昇する。

アクイレイア大聖堂 南側

私は、制作者であり、美術史家や、歴史学者ではない。鳥肌になるくらい五感を研ぎ澄ませ、心に共鳴する「何か」を静かに感じようと試みる。静かな個人的な時空間であり、22年の月日もまた、その個人的な空間の中に折り重なってくる。

アクイレイア大聖堂 南側

 

参考図書 「地中海都市気候」古代キリスト教美術を訪ねて 名取四郎 岩波書店 2005
「キリスト教美術の源流を訪ねて」1 イタリア編 名取四郎 教文館 2006

AQUILEIA  LUISI MARCUZZI