樹木希林さん主演「あん」、シネマチュプキの思い出


2017年1月27日、前ブログにアップした記事より、一部手直し、ご紹介します。

シネマチュプキタバタ

で上映された「あん」の舞台挨拶に、樹木希林さんが来ました。

無駄を所有せず、実生活でも潔く生きる、樹木希林さんのファンは多いと思いますが、私もその一人。樹木希林さんは、一目でも会いたい、その存在に触れたいと願う女性でした。

「こういう小さな映画館は、私が子供の頃、外でゴザを引いた上映会を思い出すわね、スクリーンは白いシーツなの、風が吹くと画面が揺れるのよ。小さな映画館は良いわねぇ。ござで見たのよ。風で揺れるのよ。」

希林さんの舞台挨拶の切り出しです。

「あん」は、ハンセン病を患う女性が、つかの間どら焼き屋に働きに出る物語。どら焼き屋の日常を、桜の季節の風景に乗せて描いた物語、ドリアン助川氏小説「あん」を、映画化した作品です。。

”不幸、かわいそう、”。

実は、不治の病を持つ人の心は、想像力豊かで自由に羽ばいている。かえって、健常者は、日常の義務や常識にがんじがらめ。

療養所という箱の中で生きる人と、箱のない世界で自由に生きているはずの人。二者のコントラストが、病理を描かずとも名演技により浮き彫りにされた作品でした。

樹木希林さんの演技、

予告編でも映る、桜の枝に手を振る場面は、私の、ぴったりと幼い頃の心象風景を映しているかのような一場面で、

映画の中で一番好きな場面でした。

手をキュッといくぶん折り曲げて、枝に向かってぴょんぴょん跳ねる。セリフも強く印象に残っています。

桜の枝に手を振る。光と、希林さんの演技が織りなすシーン。



風と話しながら縁側から風呂敷のマントで空を飛ぼうと試みた事、

風が強い日、風に乗って、きっと飛べると風に耳をすませた時間。

子供時代に独り世界で遊んだ思い出。

風と話すときの秘密の呪いも今でも心に残っています。



朝モヤに木の蒸気がたち上がる光。

木にそっと寄りかかる主人公希林さん演じる徳江。

風や光にこだわる河瀨直美監督の映像美。

 

撮影が終わると台本さえも処分する、

「だって私自身がゴミなんだから」。

執着しない希林さんの姿勢には、驚かされました。



モザイク看板を収めたシネマチュプキタバタ。

 

春を前に、のがたモザイク工房も、溜まったものを整理中。

プライベートも、希林さんを見習って潔く片付けます。