「万引き家族」と、NHK(”樹木希林”を生きる)を観た


NHKスペシャル”樹木希林”を生きる
途中から見ました。

「万引き家族」撮影の様子では、
是枝監督のシナリオ設定の曖昧さを突いて、


「成立していないところが随分あるから、理解しにくい。」
「基本的なところが。」
「映画の中で、リアルな世界が描けない。」

妥協しない樹木希林さんの姿勢が映しだされていました。

(これが”樹木希林”なんだ。)

 

差し入れ(?)のお汁粉を、若いスタッフが取り分ける気配もなく、希林さんが苛立っている様子。

「気が回りすぎて疲れちゃった」とつぶやく希林さんに、

ディレクターは、これが希林さんなんですねって、適当な言葉でいい繕ってたけど、それは、昭和の人間からみたら当たり前の気遣い。

今の現場や、インタビュアーの力に疑問さえ抱きながらも、そうした空気全体が、痛々しく伝わってくる番組でした。

「映画四本とるからくっついてくれば」

残された世代に隠された言葉を伝えようとする希林さんの心意気に、胸を締め付けられました。

***

さて、話題の「万引き家族」。

日中のロードショー終盤ギリギリ観てきました。
パルムドール賞受賞に納得しましたね。

 

樹木希林さんは、当然すばらしい演技です。
でも、「万引き家族」の評価は、それだけではないですね。各俳優さんの演技、ほんの一瞬の表情に、ごくんと、唾をのんでしまう。女の子を連れ戻した後のお母さんと、子どもの対話シーン、、。

貧困日本層を描き出そうとした力作。政府は隠蔽したい日本の現実的な人間生活の一コマ、あるいは、ファンタジーですか?
万引きの理由設定は、少し疑問も受けますが、ストーリー全体の根底は、美しいです。時間をみつくろい行って満足しています。

ガンに全身を侵されても、映画四本と向かい合った樹木希林さん。
希林さんの遺そうとしたメッセージは、まだこれから、新しく私達に、開かれて行くのですね。

心にポッカリ、大きな穴が空きながら、
そのスペースに、ちゃんと、希林さんの魂のかけらが降ってくるようです。

 

(時事公論)21年ぶりにパルムドール受賞

Shoplifters (Manbiki kazoku) (2018) Hirokazu Kore-eda