モザイク文明の流れ>理解のための考察


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ラヴェンナのモザイクと出会い、25年になりましょうか。

平成30年の暮れ、岡田七歩美の脳みそ領域に、プリマヴェーラ旋風が巻き起こりました。

発端は、図書館での出会い。
ギリシア文明 フレンソワシャムー原著 桐村泰次翻訳

”しかし、オリエントの思想、とくに芸術は、ギリシア文明全体に影響を及ぼしていた。”

 

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これまで、モザイクの歴史を探ろうとすると、時代の縦割り区分が壁のように、自然にできてしまうものでした。

モザイクの起源探し

区切られた領域それぞれから、ある日突然、際立った性質のモザイクが生まれ、それが起源だろうみたいな捉え方。
私のような凡人は、”モザイクの起源はどこだろう”という発想をします。
書物からその(ありもしない)点を探し、知ることが、知識や学習だと思ってしまうのです。(わかった気になっている状態)。

 

ラヴェンナの色彩豊かなモザイク表現に惹かれ、モザイクの一歩を踏み出した私は、ラヴェンナの留学先で、古代ローマ時代のモザイクに出会い、

いつしか、モザイクのルーツとされるメソポタミアまで視野を広げることとなっていきました。自然の流れです。モザイクの起源は、通常、ウルのスタンダードなどが取り上げられますから。

 

モザイク巡礼の切ない思い

モザイクを巡り、けっこうあちこち旅したので、その恩恵は果てしないものです。モザイクと出会わなければ、地中海世界を旅歩くことも、歴史ロマンの中へ、脳みそを刺激することも、なかったでしょう。

留学時代にモザイクの宝庫、

シチリアのカザーレ荘

チュニジア、バルドー美術館に研修で出かけ、旅行では、現ギリシアのペラ遺跡へ。ベルリン・ペルガモンでは、神殿を飾る古代のモザイク柱に対面し、大英博物館では、ウルのスタンダードを鑑賞しました。幸運でした。他にも、ローマの教会モザイクや、モザイクと言えば、可能な限り、出歩きました。

ウルのスタンダード 大英博物館
ウルのスタンダード 大英博物館 撮影:岡田七歩美

あちこちに似た主題のあるモザイク表現

このようにうして、各地に点在するモザイクと対面した時、似たような絵柄表現と出会うことに不思議を感じていましたが、あまり、理解が深まる努力もしてこなかったのです。

視覚優先で物事を捉えてきましたので、書物よりもまず自分の目で確かめる事を大切にしてきました。

情報から美術的作品を理解する力は、低かったと言えますし、

メソポタミアなど、あまりに遠い昔の出来事で、到底理解も想像も及ぶものではありませんでした。

神話理解では?

モザイクをよりよく理解したいと、ある時期、神話にもあたってみました。
ビザンティン以前のモザイクには、神話イメージが多く使われているからです。西洋絵画でも、神話理解は役に立ちます。

でも、私には向かない方法論であったようです。物語という世界観に、あまり馴染まない性質だったのだと思います。子どもの頃に物語をたくさん読んでいたら、きっと、スラスラと神話の世界に没頭できたのかもしれませんね。(私は、絵本も、本もあまり読まない子どもでした)。

 

ギリシア文明

”オリエント市場との通商は、最初はフェニキア人を介し、のちには直接に、海上交通やアナトリアの陸路によって行われ、金銀細工品や布、彫刻を施した象牙製品、ブロンズの家庭用器具などアジアの手工業製品がギリシアに広まった。”

 

なるほど、これまでモザイク巡礼をして見たり、感じてきた事柄が、繋がってきました。ギリシア文明 は、分厚い本ですが、トピックスで説明が分断化されているのではなく、事細かに、事柄が説明され、わかりやすい文章です。

時代背景が、無理なく展開していくので、読みやすく、オリエントと、ギリシアの影響も良く書かれています。

 

”宗教の信仰や神話も、オリエント的伝統を模索したものが生み出された。エフェソスのアルテミス神、バフォスのアフロディテ、ミトレスの傍のディデュマイオンのアポロンかみの像などは、アジア的な神々の特徴を少なからず採り入れている。タソス島のヘラクレス像はフェニキュア起源と見なされている。”

 

”ギリシア神話に好んで登場するスフィンクス、グリフォン、ゴルゴン、キマイラ、ペガサス、シレヌスなどといった怪獣たちは、アジアの民間伝承に由来するものか、または、そこからインスピレーションを得たものである。”

 

 

少し、抜粋してみると、こんな風です。

(本編は、筆者の思考を取りまとめるために綴っております。論文ではないので、誤字脱字などあるかもしれません。早打ちですので、ご容赦下さい。)

 

”古代には狩猟の獲物がたくさんいた。兎、野兎、野鳥、猪、鹿などだけでなく、熊や猿、さらにはライオンなどの猛獣もいた。”

”ギリシア人は、ずっと早くから蜜蜂の養殖を知っていた。”

”また、さまざまな地下資源も採掘されていた。シキオニアの「ボロース」と呼ばれた切石やパルナソスの灰青色の石灰石、キュクラデス、タソス、アッカイカなどの各地で算出した大理石、といった素晴らしい建築用の石材、焼き煉瓦の素材になった粘土などである。”

 

 

”この時代のクレタは、豊かで強力な王が貴族たちに囲まれて君臨する中央集権国家で、人口五万以上とみられる首都クノッソスの宮殿はフレスコ画で飾られ、貴族たちの邸も快適で、人々はさまざまな祭と遊戯に明け暮れていた。商工業は栄え、独創的でデリケートな芸術性を湛えた工芸製品は、海運の発達によってはるか遠い外国まで輸出されていた。”

 

文章だけで、当時の生き生きとした生活が目に浮かんでくるようです。翻訳も素晴らしいレベルです。

 

私には、文明を理解することが、その時代に生まれ発展したモザイクの歴史理解へとつながる段階にきています。初めてモザイクを作って24年の歳月が流れ、やっと、この地点に立つことができました。歴史の深いモザイク表現は、もはや、文化ではなく、文明だと感じています。