染付展〜青色絵付けの伝播を学ぶ〜


出光美術館で開催中の染付展へ行きました。

染付 ─世界に花咲く青のうつわ

開催期間 2019年1月12日(土)~3月24日(日)
月曜休館(1月14日、2月11日開館)
出光美術館

新橋の用事帰りに寄りました。

皇居を見渡せる絶景ロケーションの出光美術館、螺鈿のエレベータ扉が美しく、威厳を感じます。好きな美術館の一つですが、器文化に縁遠く育った私には、敷居の高い場所でもあります。

この日も、「染付」という言葉の意味もわからず、久しぶりにちょいと格調高い出光美術館を覗いてみようといった具合です。

 

白磁(はくじ)に、青い絵付けをした器を染付(そめつけ)と呼ぶそうです。青い色で描いた文様や、絵がある食器は、日常的に当たり前に目にするものですね。展示を見終わると、そんな当たり前が、西へ東へ、国境を超え、人の交流の上に成立した作品であることが良くわかりました。暮れから熱中している、モザイク史の再勉強と関連づいてきて、いろいろと納得した成果でした。

 

”青のうつわへの憧れと声望、その生産は、地理的にも空前の伝播力で広まってゆきました。”(美術館HPより)

 

展示は、出光美術館のコレクションを一堂にして、古来東地中海世界から人々に羨望された青色のガラス瓶に始まり、トルコブルーの青色タイル、そして、名前だけは聞いたことのある景徳鎮(けいとくちん)、伊万里へと展開します。

14世紀から17世紀、中国、日本、朝鮮、ベトナム、オランダ東インド会社によって欧州へと運ばれ、影響を与えあった焼き物。

器の形も、デザインも、それぞれがオリジナルというより、交流により、運ばれてきた作品(宝)を元(先生)にして、学び、それを越えようとした流れであること。先人を越えようとする職人の意欲が、作品から伝わってきます。

中国内でも、明の時代より、清の時代の染付(中国では、青花と呼ぶ)の技術は完成しているのに、明の古さに憧れて、わざと、にじみを出す表現をしたなどは、おもしろいと思いました。

 

偶然出かけた展示でしたが、一つまた、賢くなれました。器文化への理解がちょっぴりできた!繊細な描画線など、器の細部は、印刷物では伝わらないので、本物の作品と向き合い、解説を読むことで、理解が深まります。
多様な器の形や、絵柄についても、青という色に限定されたことで、一堂作品の流れがくみ取れ、器素人の私でもわかりやすい展示でした。

展示後は、午後の日差しに輝く皇居お堀を見ながら、無料のお茶を頂き、マダムな気分も味わいました。これまではただ眺めていただけの陶片室の展示 にも、興味の目が開けてきたし、一転して、常設のルオーも目の刺激にコントラストとなり、作品エネルギーに負けないほど迫力のある額装も見事です。

私感付け足し:モザイクの時代から青は高価で貴重

モザイクでも使われてきた青色のラピスラズリは、金より高価に取引されたとどこかで目にした気がします。古来から人は、高貴な青い色に心奪われてきたのですね。

例えば、ポンペイ時代では、室内の壁画は、家主の富と権力をみせつけるために描かせました。非常に高価で貴重な色であったコバルト・ブルー(顔料)で、家主の経済状態を伺えるほどだったそうです。

参考文献:ヴィジュアル版 ギリシア・ローマ文化誌百科〈下〉 (世界史パノラマ・シリーズ)