奇想の系譜展〜上野桜満開時の駆け込み〜


Lineage of Eccentrics Matabei to Kuniyoshi
The Miraculous World of Edo Painting
(Nobuo Tsuji)
Tokyo Metropolitan Art Museum

奇想の系譜展へ、開催終了ギリギリで、駆け込みました。
「奇想」と聞けば、わたくしは同時に、現代美術家の村上隆氏も、連想します。

 

奇想の系譜 (ちくま学芸文庫)は、日本美術史家、辻惟雄先生の著作(1970年)。
”これまで、本や、展覧会でまとまって紹介されてこなかった江戸絵画の画家を研究し発表” し、平成に入り、”その成果がじわじわと広がり、伊藤若冲などの日本美術の展覧会が大人気に”  。奇想の系譜展示チラシより一部抜粋です。

 

実際、日本美術ブームは、平成になって急上昇したと感じます。

私が卒業した東京都立芸術高校(現在は閉校。そのスピリットは、都立総合芸術高校へ伝播したようだ)当時は、デザインと油専攻が圧倒的人気でした。日本画と、彫刻の専攻希望者は少数派。

しかし、今から、7年くらい前だったでしょうか。
芸校閉校が決まった最後の総会で、学内で作業していた現芸校生に「最近は何科が人気があるの」と質問すると、デザインの人気は低く、変わって、日本画が人気と聞きました。

「えーっ!」とビックリした記憶が鮮明です。

パーソナル・コンピューターが普及した現在、デザインは、学ばなくてもできるという思考が若者にはあるようです。むしろ、日本的なものが、平成っ子には新しいんですね。

奇想の系譜展チラシポスター

 

さて、本展示に戻りましょう。
展示作品を見た感想速書きです。

今回一番、びっくり仰天したのは、鈴木其一でした。

鈴木其一
スズキキイツ

江戸琳派の継承者。近年再評価されているというスズキキイツ。
上手さ圧巻でした。私は、前述した通り、デザイン出身者なので、江戸琳派の構成的な作風は、好みです。

不勉強で、これまで知らなかった作家だったので、勉強します。
話題の「百鳥百獣図」より、風景を描いたものなどは、細部まで卓越した筆さばきが見事で群を抜いていました。

曽我蕭白
ソガショウハク
醒めたグロテスク と題目紹介ですが、こちらも上手い。
村上隆氏は、曾我蕭白の方が、若冲などよりも好きなようです。
作品からは、アニメーション的な執拗なこだわりが感じられました。

展示の恩恵は、細部まで研ぎ澄まされた作家の筆使いに、直接対面できること。カタログの印刷物からは、オリジナルのもつエネルギーは、伝わらないものです。

昨年の横山華山展、東京ステーションギャラリーでも、蕭白の作品展示があったような記憶が回想されました。

 

白隠慧鶴
ハクインエカク
”南無地獄大菩薩”の書道に目が留まり、ほくそ笑む思いでした。
500年に一人と讃えられる江戸時代中期の禅僧。
職人気質を放棄した絵心、遊び心、良いですね〜。

伊藤若冲
文句なし。
”象と鯨図屏風絵”は、発想がすごいなぁ。象と鯨を屏風絵の中で対比させる?

 

***

作品は、オリジナルに接するに限ります。
ゲストで、今回の展示モチーフを油絵にした横尾忠則氏の作品も紹介されていた。しかし、展示は、展覧会場の外に、高精度に再現した印刷物でした。印刷物なので、オリジナルはどこかと係員に質問したほどです。
印刷物だと、迫力なく、ぜんぜんよくない。横尾忠則ファンとしては、残念でした。

 

奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド
平成31年2月9日〜4月7日
東京都美術館

奇想の系譜 (ちくま学芸文庫)

 

 

”現代美術の雄・村上隆が「奇想の画家」それら絵師たちの作品を換骨奪胎、新作を描き下ろす、という前代未聞” のプロジェクトによる展示は、2015年〜2016年にかけて森美術館で開催されました。(一部、以下ページより抜粋)

この展示は、もちろん出かけています。今回東京と美術館での「奇想の系譜」展は、より染みてきて、日本美術の理解が広まります。

村上隆の五百羅漢図展 2015年10月〜2016年3月 森美術館

美術史家・辻惟雄とアーティスト・村上隆が舌戦「イマジネーションの飛躍がない」「おっちゃんうるさいわ」


日本美術の発見者たち

 

年譜でたどる 琳派400年