北脇昇 「一粒の種に宇宙を視る」
東京国立近代美術館 ギャラリー4
〜2020 10/25
Kitawaki Noboru
To see the Universe in a Seed
The National Museum Art, Tokyo Gallery4

北脇の作品は、知りませんでしたが、
ていねいな描写観察力の中に、北脇独自の世界観が表現され、
グイグイ引きこまれる展示でした。





左に古代ギリシア彫刻、右に中央アジアの塑像、中央に日本の能面が三角形の構図で描かれ、3つの渦巻き状の図形が描かれる。赤い線が人間の行動、青い円弧が思想を表す。



陰陽の循環によって世界は調和するという北脇の世界観が表された作品
北脇昇(1901-1951)は京都で活躍した前衛画家です。
これまでの作品は、シュルレアリスムの影響から語られることがほとんどでした。
けれども、本展は、そうしたシュルレアリスムの思想や技法を借りながら、本当にやりたかったことは何だったのか、ということに目を向けたいと思います。
それは、私たちを取り巻くこの世界の背後のある見えない法則を解き明かし、世界観のモデルを示すことでした。
北脇はそうした信念の元、シュルレアリスムだけでなく、数学をはじめ、ゲーテの自然科学や古代中国の易などを駆使して、独自の図式的な絵画を生み出しました。
一粒の種子が発芽し、
成長をとげ、
開花し実を結び、
そして新たな種子を生み出すことに、
天地の法則すべてが凝縮されていることを見出そうとした彼の、
他に類をみない制作の歩みを紹介します。
本ブログ作品解説:展示リーフレットからの抜粋紹介
*
私は、もともと、シュールレアリズムの作品は好きです。
この日の目的は、近代美術館開催の、ピーター・ドイグ展でした。ロンドンで修士号を取得したピーターは、ターナー賞にノミネートされ、
世界的な美術館で個展を開催。同時代、後続世代のアーティストに多大な影響を与えたとあります。
しかし、水彩画をはじめ、イギリス絵画をあまり見てこなかった私の目には、期待以上のものは映らず、ピーター・ドイグの展示は、足早に終えました。
常設に足を向けたところ、
偶然、北脇昇の展示と出会いました。
*
このところ、古代中国の八卦思想に興味が芽生え始めなので、
私たちをとりまくこの世界の背後にある見えない法則を、示すことにエネルギーを注いだ北脇の作品は、深く、私の心に響いてくるものでした。